翠(みどり)皮フ科・アレルギー科

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疥癬(かいせん)について

疥癬とお考えで受診される方は院内感染予防のため必ず受診時に受付にその旨を伝えてください。

◎疥癬(かいせん)はヒゼンダニというダニの感染症です。
 疥癬は、ヒザンダニというダニが感染しておきるとても強いかゆみを伴う皮膚の病気です。雌は0.4x0.3mm、雄は0.2x0.15mmくらいで前後に2対の脚を持っています。ヒゼンダニは、卵から3?4日で孵化をして、幼虫は毛包で育ちます。脱皮をして若虫になり、さらに脱皮をして成虫になります。ここまで約10日から14日くらいと言われています。成虫では、交尾をした雄はそのまま死んでしまいますが、雌は毎日卵を産み10日から14日くらい生きつづけます。

◎診断に苦慮することが多い病気の一つです。
 疥癬は、体中がとてもかゆくなり、丘疹や結節を作ったり、ひっかき傷ができたりします。これが湿疹と間違えられやすく、診断に苦慮致します。診断は、丘疹や結節をつまんで顕微鏡でみると、ダニの本体や卵を確認することでできます。しかし、体の丘疹や結節をつまんでも、検出できないことが多々あります。これが診断を難しくさせている原因です。指の間や陰嚢などの外陰部にある丘疹や結節からは比較的簡単に卵や本体を検出できることがあります。来院当初は指の間や外陰部に症状がないことが多いので診断は難しくなってしまいます。布団になると急激にかゆみを増したりしてひっかき傷を多く作ることが知られています。

◎病院や介護施設で感染することが多いです。
 疥癬は、ヒトからヒトによって感染をおこします。病院や介護施設で感染を起こすことが多く、媒介者となっていることが多いのが、看護師さんや介護職の方々です。感染した患者さんをお世話をしたりするときに感染してしまうことが多いです。また施設を利用している方が感染をした後に家に帰宅して他のご家族に感染することも良くみられます。かなり昔は、性病の一つでしたが、現在はそういう状況では感染することはかなり少なくなっています。私の友人の医師の施設は、東日本大震災に被災した仙台の病院に勤務していて水道が利用できないため入浴ができず、疥癬が病棟で蔓延してしまったという報告と相談を受けました。不潔にしていればもちろん感染はしやすいですが、不潔でなくとも感染することは十分に考えられます。後述するように治療はとても簡単です。

◎治療は以前に比べると簡便になりました。
 疥癬の治療は、以前は飲み薬がなかったので塗り薬しかありませんでした。塗り薬も副作用が多く、懸念されることが多かったのです。現在は、イベルメクチン(商品名ストロメクトール)という飲み薬のおかげでかなり簡便になりました。このお薬を2回飲むことでほとんどの場合は、疥癬を治療することができるようになりました。ただしこのお薬は卵には効きません。お薬の使用方法は、2週間間隔を開けて2回飲むということですが、この場合では最初に飲んだときに卵だったものが薬の効果を免れてまた卵を産みつける可能性があります。よって1週間間隔で2回内服することが専門家では推奨されています。2回飲んで効果が乏しい場合でも3回飲めばまず治療を完了することができます。一般的な疥癬では、隔離をする必要はありませんし、入院していなければ治療を行いながら通常の生活を送って構いません。角化型疥癬といって、全身に垢がたまってそこにヒゼンダニがついている場合があります。この場合は体に何十万匹ものダニがいますので、入院して隔離をしながら治療を行った方が良いとされています。
 塗り薬では、2014年にスミスリンローションというものが発売されました。全身に12時間以上塗布して洗い流すことを1週間隔で2回行うことでかなりの治癒率が期待できます。他には皮膚のクロタミトン(商品名オイラックスクリーム)がヒゼンダニを殺すことが分かっています。イベルメクチンの内服が推奨されていない小さいお子様でもスミスリンローションの外用で治療を行うことができます。
 

◎診断をされたらシーツや枕カバー、布団カバーは洗濯してください。
 診断をされたら、速やかに治療を開始して、シーツや枕カバー、布団カバーは洗濯してください。ふとんは干すことをお勧め致します。60度以上のお湯で洗うと確実に死滅させることができますが、角化型疥癬でなければ、通常の洗濯で構いません。少なくとも数週間に渡っては数日ごとの交換をして洗濯をすることをお勧めいたします。

◎薬を飲んでも塗ってもかゆみが増すことがありえます。
 治療を開始したのに、全然かゆみが治まらない、それどころか増えているということが起こり得ます。それは、ダニの死骸がアレルギー物質となって反応をしてしまうことによるものです。決して治療が間違っているわけではありません。勘違いされないようにご理解をお願いします。そのような時には、かゆみ止めの内服薬を加えて飲んでいただいたり、湿疹がひどいときには、湿疹を早く治すために副腎皮質ホルモンの外用をお勧めすることもあります。疥癬の未治療で副腎皮質ホルモンの外用は病状の悪化を促進致します。ガイドラインではステロイドの使用は推奨されていません。しかしどうしても必要なときもあります。そのときには十分に注意して使用していきます。

◎疥癬は疑ってかかることが大切です。
 疥癬は疑ってかかることが診断をする上でとても重要です。医療従事者やそのご家族の方、また介護を受けられている方やそのご家族の方でかゆみがどうしても治まらない丘疹や結節がでてきたら疥癬を疑うことをお勧めします。また指の間や外陰部に出現したら速やかな皮膚科への受診をお勧めいたします。

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