翠(みどり)皮フ科・アレルギー科

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帯状疱疹について

◎帯状疱疹は、みずぼうそうのウイルスの再活性化によって発症します。
 帯状疱疹はウイルスの再活性化によっておこるものです。水痘・帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスの仲間が原因です。再活性化ということは、一度ウイルスに感染したことのある患者さんになる病気であって、初めて感染した人には起こらない病気です。初めて感染した患者さんは、みずぼうそう(水痘)として症状が現れます。このウイルスをはじめとするヘルペスウイルスの仲間は、一度感染をすると排除されずに終生体の中に住み続けます。普段はウイルスは体の奥深くに抑え込まれて何も悪さをすることはありませんが、体調が悪かったり、免疫を抑えてしまうお薬を使用することによって抑え込まれていたウイルスが再活性化して症状を起こしたしまうことがあります。水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化で起きてくる症状が帯状疱疹です。帯状疱疹は、一度なると二度とならないといわれています。アメリカでは、帯状疱疹になるとパーティーを開いたりする人もいます。しかし帯状疱疹にかかったことのある人のおよそ5%くらいは2回かかることがデータで示されています。一度なったからと言って絶対に二度とかからないというわけでもありません。
 みずほうそうにかかったことのない患者さんでも、帯状疱疹になる方がまれにいます。そのような方は、不顕性感染といってウイルスには感染したのだけれども、症状が現れなかった人です。ワクチン接種をしていたり、たまた症状が出なかったり場合にそうなることがあります。

◎ウイルスは一生体の中で住みつづけ、体が弱ってくると表面に出てきます。
 水痘・帯状疱疹ウイルスは神経の根元に終生住み着いているのですが、体の元気がなくなってくると再活性化をして神経を伝ってウイルスが皮膚の表面に出ようとします。その時に現れてくる症状が帯状疱疹です。神経に沿って症状が現れるので、肋間神経の場合は肋骨に沿ったり、坐骨神経なら腰から脚にかけて症状がでます。三叉神経という脳神経に住み着くと顔面に症状がでます。

◎発症したら早期に治療しましょう。皮膚からみずぼうそうが伝染する可能性があります。
 帯状疱疹になってしまうと痛みを伴うことも多く、皮膚は水疱ができたり、水疱が破れたりしてジュクジュクしてしまうこともあります。その時に活性化して増えているウイルスを殺すお薬は残念ながらありませんが、これから症状を悪化させてしまう可能性があるウイルスの増殖を抑え込むお薬はあります。帯状疱疹になってしまったら少しでも早く(できることなら72時間以内に)ウイルスを抑え込むお薬を飲むことが大切です。水疱部分やジュクジュクした部分はウイルスがたくさんいますので、ウイルスに感染したことのない人が接触するとみずぼうそうになってしまいますので注意してください。今は、1日3回内服するタイプと1日1回内服するタイプのお薬があります。どちらも7日間内服です。お風呂(シャワー)に入るときには、患者さんが一番最後に入ることが大切です。タオルの共用はさけてください。ウイルスを抑え込むお薬をのみ始めても効果が出るまでに数日かかることもあり、症状が進行することもありますが、飲みつづけることが重要です。
 帯状疱疹で点滴をするお薬もありますが、昔と違って、お薬の腸内での吸収が良くなっており、全身状態が悪いものでなければ、入院を必要とすることはほとんどありません。私が診察した帯状疱疹の患者さんで、皮膚症状はかなり重症ですが、入院が必要な状態と考えた方はいませんでした。

◎神経痛などの後遺症を防ぐためにも早期発見早期治療が重要になってきます。
 帯状疱疹の怖いところは、後遺症が現れてしまうことがあることです。一番怖いのは脳炎です。頭や顔の帯状疱疹になった時には頻度はゼロに近いですが脳炎にならないように注意をしないといけません。ウイルス性の髄膜炎にもなってしまうこともありますが、こちらも頻度は少ないです。目の周りの皮膚が障害を受けると、ウイルスが角膜を障害してしまうこともあります。ヘルペス角膜炎といわれるもので、最悪の場合は失明してしまうこともあるので眼科医での病状の評価や治療をすることが必要になる場合があります。
 顔面に帯状疱疹ができた場合、三叉神経に近い聴神経や顔面神経という脳神経に障害をおこしてしまうこともあります。聴神経に障害が出れば難聴になってしまったり、顔面神経に障害が出れば、顔面の筋肉を動かすことができなくなってしまいます。
 これらの後遺症は非常に稀ではありますが、皮膚は治癒したのに痛みが長期間にわたって残ってしまう場合があります。これを帯状疱疹後神経痛といい、とても厄介であります。基本的には痛みが残っても3か月以内に消失することがほとんどですが、一部の人ではそれ以上に残ってしまうこともあります。神経に沿ってウイルスが皮膚の表面に出ようとした時の障害の程度によるのですが、痛みの改善のためにいろいろな治療があります。

◎漢方薬の痛み止めが効果的なことが多いです。
 翠皮フ科・アレルギー科では、西洋薬の痛み止めを使うこともありますが、皮膚の症状が治まっても神経痛が続く場合は、神経の修復を促進するビタミンB12と漢方薬による治療を勧めています。附子という生薬は体を温め、痛みを取り除く作用があります。附子が入っている漢方薬を中心に治療を進めていきます。
 しかしながら、まったく効果が現れないときには、痛みを専門に治療をしている麻酔科の医師に紹介をさせていただいております。早期の治療が大切であり、翠皮フ科・アレルギー科では漫然としただらだらと漢方薬をつづけていく治療はいたしません。きちんと評価をしたうえでこのまま続けていくか、紹介をしたほうが良いかを判断させていただいております。

◎早期発見して、早めの治療を!
 これらの後遺症を防ぐ一番の方法は、帯状疱疹になったらすぐウイルスを抑え込むお薬を飲むことです。たかが帯状疱疹、されど帯状疱疹です。早めの治療をお勧めいたします。

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