翠(みどり)皮フ科・アレルギー科

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手あれ・手湿疹について

◎手あれ・手湿疹にもいろいろとタイプがあります。
 冬に多い手あれですが、夏でも手あれに悩んでいる方も多いと思います。冬に多いのは、空気が乾燥して、手がカサカサして、ひび割れが発生してしまうタイプのものです。逆に夏に多いのは、指のさきに小さいブツブツのみずぶくれが出現し、それが強烈なかゆみを発生させるタイプです。ブツブツが乾いてくると皮膚が硬くなりパリパリ皮が向けてくることがあります。

◎原因もいろいろあります。掌蹠膿疱症との鑑別も必要です。
 手あれの原因としてはいろいろありますが、乾燥、水仕事、汗が主な原因として考えられます。冬に多いタイプでは、空気が乾燥して皮膚もカサカサになってしまうところに水仕事をすることによって皮膚の脂がさらに失われてしまうことによって皮膚のバリアが破壊されてしまうことで手あれを起こすと考えられています。夏に多いタイプは、汗疱や異汗性湿疹といわれるタイプが多く、手のひらや足の裏の汗腺(汗を出すところ)から出た汗が正常に分泌されずに皮膚の角質の中に貯留して、それが刺激となって湿疹を引き起こし手あれを発生させるものです。強烈なかゆみを伴い、厚い皮膚がはがれていくものと、ほとんどかゆみを伴わずうすく皮が剥けていくタイプのものがあります。前者は喫煙者に多い傾向があると考えています。喫煙者は手湿疹になりやすいとスウェーデンのグループが発表しています(Br J Dermatol. 2010 Oct163(4):752-6. PMID: 20716220 )。後者は春や秋のいわゆる季節の変わり目に多く見られます。
 もちろんこれらに該当しない混在したタイプなどもあります。手のひらだけにブツブツや皮が剥けてくる場合は、手湿疹ではなく、掌蹠膿疱症もありますので注意が必要です。

◎治療はまず塗り薬が基本で、患者さんごとに使い分けます。
 治療としては、どのタイプでもお薬を塗っていただくことがとても大切になります。どのようなタイプの手荒れに関してもステロイド剤と保湿剤を欠かさず外用していただくことでまずは改善が期待できると考えています。ただお薬には油分が水分よりも多く含んでいる「軟膏」と水分が油分よりも多く含んでいる「クリーム」があります。またステロイド剤もいろいろな強さがありますし、保湿剤にも数種類ありますので、これらの組み合わせを患者さんごとに適切に選択していくことがとても大切になってきます。
 夜間だけでもステロイドのテープを使用することでかなり改善が期待できる場合もあります。患者さんに応じてと強さを使い分けて副作用が起こりにくいように検討しています。

◎塗り薬でコントロールできないときは、漢方薬などの飲み薬も使いましょう。
 塗り薬だけで効果が乏しい場合には、内服薬を併用していきます。かゆみが強いときには、かゆみを抑えるお薬を使っていきます。手荒れに対してビタミンCやビタミンHが効果を発揮する場合もありますのでこれらを使用することもございます。喫煙者の場合、ビタミンCが慢性的に不足していることが多いので内服してみる価値は十分に多いかもしれません。
 他には漢方薬などを使用することもございます。皮膚ガサガサしてしまうのは空気の乾燥などの外的要因だけが原因と考えられるのではなく、皮膚への血流が不足して起きている場合も考えられます。そのような時には、お肌への血流を良くし、潤いを保てるように働きかける漢方薬や西洋薬を併用していくとよろしいかもしれません。特に冷え性の乾燥肌の方で手荒れがひどい場合は漢方薬はお勧めです。手あれや手湿疹は著しく生活の質を落とします。一度ご相談下さい。

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