翠(みどり)皮フ科・アレルギー科

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掌蹠膿疱症について

◎手のぶつぶつと関節痛が見られたら掌蹠膿疱症かもしれません。
 掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に膿がたまった膿疱が出現し、かゆみや痛みを伴うことが多い病気です。手のひらの皮がむけたりすることが多いので、買い物をしてお金を出すときにあまり見せたくないと思われる方や、また握手ができないと思われる方が多くおられ、生活の質が下がってしまうことが考えられます。胸骨と鎖骨の間の関節や腰の関節などが炎症を起こして痛くなることもあり、皮膚だけの病気ではなく全身の病気と考えられています。

◎掌蹠膿疱症についてはいろいろな考え方があります。
 尋常性乾癬(別項で説明しております)は、手のひらや足の裏に病気ができることが少ないのですが、掌蹠膿疱症はその逆のパターンになります。尋常性乾癬に似た膿疱性乾癬という病気の一つのタイプとして掌蹠膿疱症があると考えている専門家もいます。しかしその議論は何十年と世界中の皮膚科医の中でなされてきており、未だに結論がでません。

◎掌蹠膿疱症の原因として細菌感染や金属アレルギーなどが考えられます。
 掌蹠膿疱症の原因は、未だにはっきりとはしておりません。歯科領域における感染症や扁桃炎、金属アレルギーなどが原因の一つになりうることは分かっていますが、全員がそうでもありません。また後述する喫煙も原因の一つと考えられています。掌蹠膿疱症の方で虫歯がないとおっしゃる方でもレントゲンを撮って検査をすることによって歯科の感染症が見つかることがあります。それらを治療することによって掌蹠膿疱症が治癒する方もいらっしゃいます。慢性の扁桃炎がなくても、扁桃摘出の手術を受けるだけで症状の改善が半分以上の方で見られたというデータもあります。私も実際に扁桃を摘出して劇的に改善した患者さんを受け持ったことがあります。
 金属アレルギーに対する対処は、いろいろ治療を考慮しても効果が認められない時に実施されるべきだと考えております。歯科金属や人工関節に用いている金属を交換となると莫大なお金がかかることがありますので最初から検討することはあまりお勧めしておりません。ただ虫歯を改善すればかなり改善する方がいるのも事実なので、歯科でチェックをすることはお勧めいたします。
 まずは、扁桃や口腔内などの感染症の有無の検索をすることが大切だと考えております。

◎掌蹠膿疱症は喫煙者にとても多く発症します。
 掌蹠膿疱症は、喫煙者のほうが非喫煙者に比べて何倍もの確率で病気になりやすいことが証明されています。どういう理由かは解明されていませんが、経験的に喫煙者のほうが圧倒的に多いです。最近では、喫煙によって酸化ストレスが増加し、それによりIL-8という物質が増えることと掌蹠膿疱症の関連があるのではないかと考えられている方々もおられます。治療の最初のステップとして、喫煙者の方はタバコをやめることをお勧めしています。掌蹠膿疱症だけを考えてというより、体全体の調子も考えてと思っていけばタバコはやめられると思います。

◎治療は尋常性乾癬に似ています。またビオチンの内服が効果がある人がいます。
 掌蹠膿疱症の治療は、尋常性乾癬の治療と似ているところがあります。病気の原因が分からなくても、体の中でどのようなことが起きているのかは解明されつつあり、尋常性乾癬と似たことがおきていることが予想されています。塗り薬に関しては同じ治療で、ステロイドやビタミンDの塗り薬などを用います。私はそれだけでなく、尿素を使うことも効果的と考えています。飲み薬も尋常性乾癬と似たようなものが使われることがあります。また掌蹠膿疱症には、ビオチンというビタミンが効果的であるとも考えられています。大量に飲むことによって改善する人もおられます。ビオチンは生の卵の白身によって吸収が妨げられてしまうので、生卵の摂取はお勧めしておりません。

◎胸骨と鎖骨の関節が痛い人では、ロキシスロマイシンの長期投与が効果があることがあります。
 掌蹠膿疱症の関節症の治療は、いろいろありますが、ロキシスロマイシン(商品名ルリッド)の長期間にわたる内服で効果がみられることがあります。抗生物質ではありますが、炎症を抑えたりするなど特殊な作用もみられ、副作用もほとんどなく安全性の高いお薬なので、お悩みの方には是非お勧め致します。

◎風邪を引いただけでも悪化する症状の波の激しい病気ですが、あきらめずに治療しましょう。
 掌蹠膿疱症はとても頑固に長く続く場合もありますが、尋常性乾癬と比較すると直りやすい病気だと思います。よくなっても風邪を引いたり疲れがたまると一気に悪化したりすることがあり、症状の波が激しいことでも有名な病気です。悪化しても一喜一憂せずこつこつと治療をしていくことがとても大切なことです。

◎漢方薬も治療の一つにお勧めです。
 体調を整えていくという意味において、漢方薬は一助を担っています。塗り薬を使っても何十年も続いていた人が、漢方薬を加えただけで症状が一気に改善した方もいます。漢方薬に限らず、暴飲暴食や夜更かしなどを避け、体調を整えるようにしましょう。
 
 手は常に見えるところで、人の目をとても気にしなければいけないところでもあります。もしよろしければ一度ご相談ください。説明中に出てきた似た病気の尋常性乾癬についてはこちらをご覧ください

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