翠(みどり)皮フ科・アレルギー科

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食物アレルギーについて

◎食物アレルギーの症状は多彩で、中には命の危険を伴います。
 食物アレルギーは、食物を摂取することによって出現する症状です。一言で食物アレルギーと言っても症状は実に多彩です。皮膚では、じんま疹が出たり、湿疹が出現したりすることが代表的なものです。じんま疹と同じようなことが気道に出現すれば、喘息様症状が出て咳をするようになったり、気道浮腫といって呼吸をすることが困難になる場合もあります。じんま疹が重症化すれば、体じゅうの血管が一気に拡大してしまうことで、血圧が下がってしまうショック状態になり、血流を維持できなくなることもあります。お腹の腸管での症状は、腸管が浮腫を起こすことによって下痢が出現したり、ひどいときには腸の組織が壊死することもありえます。また特定の食物を摂取した後に運動をすることによってじんま疹や呼吸困難、ショック状態になって命の危険を伴うこともあります(食物依存性運動誘発性アナフィラキシー)。

◎症状は時間が経ってから出現するものもあります。
 呼吸困難やじんま疹は、食物を摂取して数分から数十分の間と比較的短時間に起こることが多いですが、数時間や十数時間後に起きることもゼロではありません。湿疹が起きるタイプでは、その日に出ることもありますが、遅発性のタイプとして数日後に出現することもあります。

◎乳幼児期の湿疹が、食物アレルギーの原因になっていると考えられます。
 乳児の湿疹などのお肌のバリアの破壊は、食物アレルギーを起こさせる大きな原因になっていると考えられます。本来食物にアレルギーは起きないように人間の体はうまく免疫が調整されています。自分の体の成分は、免疫機構が臓器などを細菌やウイルスと同じように攻撃をしないようになっています。これを免疫寛容と言います。食物は異物なのに基本的には免疫寛容が成立するようにできています。もしそうでなければ私たちは生きていくことができません。つまり口から入れたものに関しては免疫寛容が働きやすくなっているのではないかと考えられています(必ずしも言いきれないところもあります)。しかし皮膚に関しては、本来はバリアがきちんとしていれば免疫反応が起きる前にブロックできてしまうものが、バリアの破壊によって皮膚の方から異物に対する免疫反応が起きてしまうと考えられるようになりました。食物が最初に皮膚で異物と認識されて排除しなくてはいけないという反応が、後から食物を口から入れたときに、食物アレルギーとして反応してしまうのではないかと考えられています。もちろん、皮膚に触れてもバリアが壊れていればアレルギー反応は起きるとされています。料理をしたその手で子供に触れたり、食品のかすを含んだホコリに肌が接するだけでもアレルギーの原因に十分になる可能性があります。乳児湿疹を制するものが食物アレルギーを制すとまでは言いきれませんが、とても重要であることには間違いありません。

◎スキンケアは、食物アレルギーの防止のとても重要です。
 上記のとおり、お肌のバリアを整えることはとても重要です。湿疹や皮膚炎などの症状がある時には、ステロイドを早期にしっかり使用することで、状態を改善することができます。また保湿剤などのスキンケアを十分に行うことで、湿疹や皮膚炎を防ぐことができるようになります。それによって食物アレルギーになる可能性を格段に下げることができます。ステロイドをいかにして上手に使いながら保湿剤を併用してスキンケアを実施するかが、食物アレルギー予防には重要であると考えています。実際ところスキンケアをきちんとしていると花粉症にもありにくいというデータもあります。スキンケアがアレルギー全般にかかわっているといっても過言ではなさそうです。

◎特定の食物に対するアレルギー検査はあくまでも参考程度です。
 食物が原因かどうかを調べるのに、特異的IgEに対する反応を見る血液検査がアレルギー検査として広く行われていますが、残念ながら確定診断をするものではありません。食物を摂取してから数日後に遅発性に出現するものでは、ほとんどの場合が血液検査で反応しないことも分かってきています。IgEによって起こされるアレルギーは即時型アレルギー(I型アレルギー)と言われるものであり、他のタイプのアレルギーでの関与は少ないとされています。つまり特異的IgEが高くないということは、そのものの即時型アレルギーの関与は少ないと言うことだけで、残念ながらアレルギーそのものを否定したことにはなりません。血液検査の結果を過信することなく、あくまでも参考程度という位置づけでご理解ください。湿疹や皮膚炎の場合は、まずは治療を行ってから改善が認められないときに検査を検討するべきだと考えています。どのような時に検査をするべきなのかについては、アレルギー検査をご覧下さい。
 あらかじめアレルギーの原因が特定されていて、その特異的IgEが高いときに、定期的に検査をすることで特定物質の即時型アレルギーの反応の程度が推測できるのでそういう意味では採血検査は利用できると考えます。ただし特定されているのにその特異的IgEが反応していない場合は指標として利用できませんので、採血をする意義はないと思います。
 参考程度でもよろしければ翠皮フ科・アレルギー科では特異的IgEの採血検査を行っています。どのような種類が調べられるかについては、こちらを参考にしてください。お薬などで管理できない湿疹などの中には、皮膚についている細菌やカビ(真菌)が原因になっていることも考えていますので食物アレルギーと同時に検討することも必要になってきます。

◎食物を摂取して症状が出現すれば確定診断になります。危険なタイプは病院で検査をしましょう。
 食物アレルギーがあるかどうかの診断は、そんなに難しくはありません。食べて症状が出るものであれば、それが原因と考えられますし、問題なければ除外をすることが可能です。ただ特定の食物を摂取した後に運動をすることによっておきるタイプでは、運動負荷を行うことが必要になってきます。食物を摂取して呼吸困難になったり、ショック状態などのアナフィラキシーが起きる場合や、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの場合は、私たち診療所で検査をするのは非常に危険ですので、十分に救命処置が整っている大きい医療機関で入院して行うことが必要です。ショック症状など重い症状がないアレルギーであれば、オープンパッチテスト、プリックテスト、クローズドパッチテストを翠皮フ科・アレルギー科では行っています。アレルギー検査をご参考にして下さい。

◎血液検査よりも、ご自宅での日記をつけて頂くこと方が確実です。
 アナフィラキシーを伴わない軽症のものであれば、ご家庭で観察をしていくことによってある程度の状況を調べていくことが可能です。アレルギー検査でも書かせていただきましたが、アレルギーが何によって起こされているのか調べる検査では、血液検査よりもご自身の病状把握やお子様の場合はご両親の目の方が確実に病状を把握できます。そのために日記をつけることをお勧めします。食物を少し食べただけで湿疹やじんま疹などの症状が出現する場合と、ある量を越えると症状が出現する場合があります。すこしだけなら症状がでない人もいるのです。どこまでの量なら摂取できるのかを入院施設のない診療所で行うのも悪くはないと思いますが、これはご自宅でも十分に調べることができると考えます(重症化するものに関しては、先ほど記述した通り十分に救命処置が整っている大きい医療機関で入院して行うことが必要です)。食物アレルギーがあるかどうかの診断書をご希望の場合は、ご自宅で摂取していただいた結果に基づいて症状を拝見させていただき、診断をさせていただいております。

 こちらに症状日記のひな型のサンプルと書き方のサンプルをお示し致します。ダウンロードして使用してください。ご自身で必要だと思われる項目があれば加えてください。

 症状日記        症状日記の書き方サンプル

◎治療でコントロールができれば制限しない方法もあります。
 食物アレルギーとどう付き合っていくかのアドバイスとしては、完全に除去を勧める場合と、量によって症状が出現してくる時には量の制限を勧める場合があります。子供の食物アレルギーがある場合で、治療をすることによって症状がかなり抑えられているのであれば、”食育”という別の観点も総合的に判断して、食物の制限をしない場合も考えています。

◎治療はどんどん進化しています。
 子供の食物アレルギーは、ただごく一部の患者さんは大人になっても残ってしまうことがありますが、基本的にはほとんどが大人になると改善してきます。また現在では、アナフィラキシーを起こすような重症の食物アレルギーでも、ほんのわずかな量から段階的に増やしていくことによって克服できるようにする治療法もあります(危険を伴うので入院施設がある一部の病院で行っています)。「アレルギーの体質は変わる」と言える良い例だと考えています。

◎食物制限は総合的に考えてバランス良く実施しましょう。
 食物アレルギーの症状は、実に多彩です。子供で命の危険がある場合は、無理に食べさせるのも良くありませんが、食育の観点からアレルギーの採血検査だけで何でも制限することも決してよろしくないと思います。バランス良く治療していくことが一番大切だと考えています。お悩みの方は一度ご相談ください。

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